−日記帳(N0.1910)2017年01月22日−
第9惑星を巡って日米で探索競争
−日記帳(N0.1911) 2017年01月23日−
NASAが地球に接近する直径2キロの天体を発見


ハワイに設置されている日本の「すばる望遠鏡」

地球に接近する直径2キロの天体


幼少の頃、太陽から近い順に九つの惑星を「水金地火木土天海冥」と教わったものでした。その9番目の冥王星はその軌道が異常であるとして、2006年8月に開催された国際天文学連合で惑星の資格を剥奪されてしまいました。

太陽の周囲を公転する惑星以外の天体のうち、それ自身の重力によって球形になれるだけの質量を有するものを準惑星としており、次の5個が確認されております。


             直径(km)      質量(kg)  軌道長半径(AU) 公転周期(年) 衛星数   
・冥王星    2,370          1.3 ×10^22       39.5          247.8      5
・エリス       2,400±100     1.5 ×10^22       67.8          558.8      1
・ケレス       975×909       9.5 ×10^20        2.8            4.6      0
・マケマケ     1,300-1,900    4.0 ×10^21       45.5          306.8      0
・ハウメア 1,960×1,518×996  4.2 ×10^21       43.1          282.8      2


冥王星(2015年7月13日にニュー・ホライズンズが撮影)

エリス

ケレス

マケマケ

ハウメア(想像図)

産経新聞 1/22(日) に次の見出しの記事が有ったのでそのまま転載させて頂きました。

「第9惑星」を探せ 遠方に地球の10倍の重さ すばる望遠鏡で観測開始

太陽のはるか遠くを回っていると予測される「第9惑星」を探すための観測が、ハワイにある国立天文台のすばる望遠鏡で始まった。見つかれば天文学の歴史を塗り替える大発見になる。新顔の惑星は年内にも姿を現すだろうか。(原田成樹)

 ■1万年で太陽一周

 太陽系の外縁部と呼ばれる遠い場所を、未知の惑星が回っているかもしれないという説は昨年1月、米カリフォルニア工科大の研究チームが発表して注目を集めた。

 チームは、外縁部で近年見つかった小惑星セドナなど6つの天体は、太陽を回る軌道が特定の方向に偏っていることに着目。重力のバランスを取るためには、これらと逆の方向に未発見の天体があると予測した。

 重さや軌道などを計算したところ、地球の10倍ほどの重さを持つ新たな「惑星」の存在が浮かび上がった。中心部は岩石で、周囲を氷が覆う第8惑星の海王星と同じタイプの天体らしい。比重から推測される直径は地球の2〜4倍だ。

 巨大な楕円軌道を回っており、太陽からの距離は、最も近いときで海王星の約5倍、最も離れたときは約30倍も遠い。太陽を一周するのに1万〜2万年かかる計算だ。人類が望遠鏡を手にしてからも気付かなかったのは、今も太陽から離れた場所を回っている途中だからとされる。

 ■日米が発見競争

 予想された明るさは22〜25等星と非常に暗く、これを探せるのは口径8・2メートルと世界最大級で視野の広いすばる望遠鏡だけだ。観測は国立天文台とカリフォルニア工科大などが参加。天の川銀河の中心部を含む領域にターゲットを絞り込み、昨年9月に観測を始めた。

 同じ場所を3日かけて数回撮影し、動いている天体をコンピューターで抽出して探し出す。ほとんどは火星と木星の間にある小惑星か外縁部の小天体だが、非常にゆっくり動いているものが見つかれば第9惑星の可能性が高い。 まだデータを精査中だが、惑星は見つかっていない。観測の機会は限られているため、調べたのは全体の約1割にとどまっており、今秋以降も観測を続ける計画だ。

 ハワイ大などが参加する別のチームもすばる望遠鏡で探索を進めており、「世紀の発見」を目指して熱い戦いが繰り広げられている。

 ■惑星の定義修正も

 なぜ第9惑星は、他の惑星よりもはるか遠くにあるのか。理由はよく分かっていないが、本来の軌道が乱れて広がったという説がある。木星と土星が互いに影響を及ぼす共鳴状態となり、すべての惑星の軌道が不安定になったことで、押し出されるように外側へ遠ざかったという。

 逆に太陽系外から移動してきたとする説も最近、発表された。他の恒星を回っていた惑星が初期の太陽系の重力に引き寄せられ、捕らえられたとされる。

 国立天文台チームを率いる吉田二美(ふみ)専門研究職員は「これだけ遠くを回る天体が見つかれば、太陽系像が変わる。私たちの手でそれができればうれしい」と意欲を見せる。

 ただ、見つかっても惑星と呼べるかは微妙だ。第9惑星はかつて冥王星の称号だったが、周辺により大きな天体が見つかったことで国際天文学連合は2006年、冥王星を準惑星に降格した。

 この際、惑星の定義も見直され「軌道上から他の天体を排除していること」が盛り込まれた。新たな第9惑星は外縁部にある6天体と軌道が絡み合っているため、この定義に抵触する可能性が高い。

 しかし、吉田さんは「重さが地球の10倍あれば惑星としか言いようがないと思う」と話す。最も軽い水星と比べれば100倍以上だ。惑星の定義は再修正を迫られるかもしれない。

 冥王星が発見されたのは1930年。90年近くを経て本当の第9惑星が姿を見せれば、小学校の教科書や惑星形成論は書き換えられ、天文学に新しい光が差すことになるだろう。

昨年、大晦日の2016年12月31日、地球の高度525kmの太陽同期軌道を周回して宇宙を観測している NASAの広域赤外線探査衛星(NEOWISE :ネオワイズ)が、今年2017年2月に地球に接近する直径2kmの新しい天体を発見したことを報じました。もしこの天体が地球に衝突すれば大変なことになります。

ひとつは彗星、もうひとつは直径が最大で1kmの天体で「彗星の核が天体となった」ものではないかと推測されています。 どちらも巨大ですが、計算された軌道では、地球に被害などの影響を与える可能性はありません。 NASA から発表された、そのふたつは以下のとうりです。

・彗星(C/2016 U1 NEOWISE)
・2月に接近する直径1kmの天体(2016 WF9)

彗星(C/2016 U1 NEOWISEは、地球最接近距離が1億600万km(太陽と地球の距離とほぼ同じ)で、地球最接近日時 2017年1月14日です。 直径は彗星のため表示できません。地球最接近日時が2017年2月25日の直径1kmほどの天体(2016 WF9)は地球最接近距離が5100万kmと推定されております。

2016 WF9 は、天体としての種類は不明ですが、NASA は、元は彗星の核(中心部)だった可能性があるとしています。 これは、直径1kmと巨大ですが、最大接近距離が 5100万kmですので、現時点で計算されている軌道での動きをしている限りは、地球にはまったく危険はありません。

直径1kmの天体が地球に衝突すれば、その地域は壊滅的な被害を受けますがその確率は極めて低く現実にはまず起こることはありません。。日本惑星科学会誌の資料によれば、地球への天体の衝突の頻度は以下のようになっています。

・直径 10 m の天体の地球への衝突頻度 → 10年に1度
・直径 100 m の天体の地球への衝突頻度 → 6000年に1度
・直径 500 m の天体の地球への衝突頻度 → 14万年に1度

直径500mを越えたあたりから、天体の衝突は地球規模の災害へ結びつく可能性があることがわかります。 因みに、地球に衝突した最大の天体(隕石)は、ヨハネスブルグの南西120kmの位置にあるフレデフォート・クレーターで、隕石の衝突跡の直径は約190kmです。

フレデフォート・クレーター

隕石の衝突跡は、中央のドーム(直径約50km)とそれを取り囲む外輪山(リング)からなり、約20億2300万年前(古原生代)に直径10から12kmの小惑星が速度約20km/sで衝突し、フレデフォート・ドームが生成されたと推定されております。衝突時のエネルギーはTNT火薬に換算して87Tt(テラトン、広島型原爆が約15kt、即ち58億倍) にのぼります。

フレデフォート・クレーターに次ぐのは、カナダオンタリオ州グレーターサドベリー市にあるサドベリー・クレーターです。 クレーター跡は現在は深く浸食され強く変形しているが、生成時には直径200〜250kmあったと推定されております。

サドベリー・クレーター

3番目は、メキシコのユカタン半島にあるチクシュルーブ・クレーターで、約6550万年前の小惑星衝突跡と推定されております。3番目は 約6550万年前の小惑星衝突跡と推定され、地磁気異常、重力異常、およびセノーテの分布によって確認されております。直径は約160Kmで、顕生代(5億4200万年以降)に形成されたことが確認されるものとしては最大級で、この衝突が、恐竜を含む大型爬虫類はじめとする多くの生物が絶滅した白亜紀末の大量絶滅(K-Pg境界)の、もっとも有力な原因と考えられております。

チクシュルーブ・クレーター

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