かってはJAXA(宇宙航空研究開発機構)とMHI(三菱重工)が共同で実施していたH2Aロケットによる衛星打ち上げ事業は、その後
JAXAがMHIに委託したことから現在はMHIが単独で行っております。
2001年8月29日に1号機が打ち上げられて以来、今日打ち上げられた31号機まで計31機が打ち上げられ、2003年11月
29日の6号機の失敗を除き全て成功し、成功率は96.8%に達しております。このように、MHIの宇宙事業は世界クラスで日本の誇りでもありますが同じMHIでも造船と航空機事業では失敗が多く内外から批判を浴びております。
例えば、米カーニバル傘下の独アイーダ・クルーズから2011年に受注した10万トンを超える大型客船2隻については、
2015年3月には1隻目を引き渡す予定だったのに顧客の要望を満たせず工事のやり直しが頻発し納入は1年後にずれ込んだ結果、損失は約1,000億円といわれる受注額を上回る約2,400億円に達しております。
MHI長崎は戦艦武蔵など当時世界有数の軍艦製造拠点、MHI名古屋は一時は世界最速の戦闘機「ゼロ戦」などの軍用機製造拠点でしたが、現在はH2Aロケット、子会社では旅客機MRJを製造するなど航空宇宙産業の製造拠点となっております。このように、
MHIは輝かしい歴史を持ちながら、造船や旅客機MRJで遅延を繰り返しているのは同社の悪しき伝統的な体質に依るものと思います。
それは、三菱にはグループを背負うに足る強力なリーダーが居ないことが原因と思われます。そのため三菱石油、三菱自動車では度重なる事故を招いております。ただ、リーダーは居ないものの結束力は強いので、三菱銀行や三菱商事が救済してはおりますが、最近の三菱自動車の燃費不正問題は目に余る酷さで国辱ものです。三菱の開祖、岩崎弥太郎はあの世で嘆いていることでしょう。
ただ、宇宙産業だけは三菱の中では健全な部門で、今日のH2Aロケットの打ち上げ成功がそれを物語っております。打ち上げられたひまわり9号は約28分後、高度約260kmで予定通りロケットから分離され、打ち上げは成功しまた。気象庁によると、ひまわり9号は太陽電池パネルが開き、2日午後7時現在、正常に通信しており、11日頃、高度約35,800kmの静止軌道に入る予定で、昨年運用を始めたひまわり8号との2基体制に入ります。 |