−日記帳(N0.1727)2015年12月03日−
はやぶさ2の地球スイングバイに成功
−日記帳(N0.1728) 2015年12月04日−
はやぶさ2が目指す小惑星「Ryugu」について


「はやぶさ2」

「はやぶさ2」が目指す「Ryugu」とは「やぶさ」が目指した「イトカワ」


去年打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」が、地球に最接近しました。午後6時から7時ごろにかけて、「はやぶさ2」は日本の上空を通過しましたが、肉眼で視認することはまず無理です。全国各地の天文台などが撮影に挑戦しましたが天候不順で苦労したようです。

小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載したH2A26号機が、昨年12月3日午後1時22分鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。「はやぶさ2」が目指す天体はC型小惑星1999JU3(りゅうぐう)です。

小惑星番号 162173 仮番号 1999JU3 です。小惑星番号が正式に決まるまで、4桁の数字(発見年)、空白、アルファベット (A-Y):発見時期(月の前後半)の仮番号が付けられます。「1999」は1999年、「J」は5月前半、「U3」は95番目に発見されたことを意味しております。

下の画像は、日本の上空を通過する「はやぶさ2」が長野の観測所で捉えられたその瞬間です。全国各地の天文台などで「はやぶさ2」の観測が試みられましたが、雲が多く、断念した施設も少なくありませんでした。

長野の観測所で捉えられた「はやぶさ2」

ちょうど1年前に打ち上げられた「はやぶさ2」。目的地は地球から3億kmほど離れた小惑星「Ryugu」です。小惑星には有機物や水が存在すると考えられていて、石や砂を持ち帰ることで生命の起源に迫ることを目標としています。

1年前に飛び立った「はやぶさ2」がなぜ今回地球に最接近したのでしょうか。答えは、地球の重力を利用して進路を変更する「スイングバイ」という操作のためです。地球と同じように太陽の周りを回っていた「はやぶさ2」は、今回、地球の上空およそ3,090kmまで接近しました。この際に地球に引き寄せられる重力を利用し、加速しながら進路を変更します。これが「スイングバイ」です。

 「スイングバイ」を使わないと、イオンエンジンを1年余分に使用することになります。燃料も余分に要りますし、時間もかかりますし、それを一瞬地球をかすめることでで可能になるわけです。

今日3日の最接近を最後に、「はやぶさ2」は小惑星「Ryugu」に向け旅立ちました。 「はやぶさ2」は2018年頃に「Ryugu」に到着。石や砂を採取し、2020年、東京オリンピックの年に帰還する予定です。

2014年12月3日に打ち上げられた「はやぶさ2」は、打ち上げ後の1年間は下図に示すように、地球の軌道と似た軌道に沿って太陽の周りを公転していました。そして、ちょうど一年後の2015年12月3日に地球に約3100qまで最接近しました。

「はやぶさ2」の軌道

地球の直径が約12,000kmですから、高倍率の望遠鏡なら視認できる距離です。 この時を利用して、 地球と同じように太陽を周回する小惑星に探査機を送り込むのに、何故「はやぶさ2」のようにスイングバイなど面倒な操作を行った上、更に周回させねばならないのでしょうか。直接、目標の小惑星に向けて飛行させることは出来ないのでしょうか。

宇宙空間をエンジンを稼働させて飛行するためには膨大な燃料を要し事実上不可能です。そこで、太陽を周回させることにより目標の天体と近づける方法を採ります。 「はやぶさ2」は12月3日に地球に接近し、地球の引力を利用して軌道制御を行います。これを地球スイングバイと呼びます。 地球スイングバイをする探査機の軌道について 地球に最も近づく時刻は19時7分ごろ(日本標準時)で、そのときの高度は約3100km、場所は太平洋上空です。このスイングバイによって、太陽に対する「はやぶさ2」の速度は、約30.3km/sから約31.9km/sに増速します。最接近時の地球に対する速度は、約10.3km/sです。

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