中欧5ケ国旅行を終えて思うこと(3)
(ヨーロッパのガソリン代は日本より高かった!)
中欧5ケ国旅行を終えて思うこと(4)
(ヨーロッパでは風力発電が盛んに行われていた!)


ブタペスト郊外のガソリンスタンド風景

旅行三日目、ハンガリーの首都、ブタペストからスロバキアの首都ブラスチラバに高速道路でバス移動する途中、トイレ休憩を取るために立ち寄ったサービスエリアのガソリンスタンドを覗いてみました。スタンドはセルフ式でした。レギュラーガソリン代がどのくらいか興味が有りましたので、ガソリンメータの表示を撮影しておきました。それが下の画像です。

スタンドのガソリンメータ

今回訪問した中欧5ケ国はいずれもEU加盟国ですが、うちハンガリー、チェコはユーロ通貨圏に属しておりませんので、基本的にはユーロは使えません。しかし、ハンガリーのフォリント、チェコのコルナはユーロに対して弱いことから、大規模な店ではユーロを歓迎するらしく、レストラン、土産物店ではユーロが使えました。従って、フォリント、コルナに両替することなく買い物することが出来ました。

ところで、ガソリンメータの表示は、ガソリン代=424.36フォリント、ガソリン量=14.71リッター、ガソリン単価=302.9フォリント/リッター となっておおります。当日の為替レートは、0.5円/フォリントですので、
151円/リッター ということになり、日本では115円/リッター程度ですから日本の1.3倍に相当します。日本のガソリン代が欧州各国のいずれより安いことは、昨年5月30日付けの日記「ガソリン代高騰に思うこと」で触れておりますが、今回で再確認されたことになります。

日本は、先進国の中では税金、医療費が安い部類に入るのに、この事実を肯定すると野党としての立場が無くなることから、野党は国民の実感に便乗して税金、医療費が高いと主張し、マスコミも野党の主張の矛盾点を無視して同調して報道するため、国民が実感と現実を混同し本当に日本の税金、医療費、そしてガソリン代が高いとの思い込み必要以上に自国、日本に悲観している現実は残念なことです。


オーストリアで見掛けた風力発電塔が林立している様子

ハンガリー、スロバキアでは殆ど見掛けなかった風力発電塔が、オーストリアに入ってから多く見られるようになりました。上の画像は、ドナウ川沿いにスロバキアとの国境を越えてオーストリア領内に入った地点でバスの車窓から撮影したものです。このような風力発電塔の集落がウイーンに着くまでにいくつか散見されました。オーストリアには原子力発電所がありませんので、風力発電に注力しているとの説明がガイドさんから有りました。

欧州ではEU指令に基づき風力発電の導入促進制度が整備されており、世界の7割を越える風力発電が集中しております。風力発電は風さえ有れば昼夜に関係なく発電し続けますので、深夜などの電力の消費需要の少ない時間帯では電力が余ってしまいますので蓄電する必要が有ります、しかし、まだ大容量の蓄電技術は確立されておりません。(最近、日本ガイシのNAS(ナトリウム硫黄)電池がこの目的に合致するとして注目されておりますがまだまだ高価です)

ところが、欧州では国境に関係なく連系線がメッシュ状に張り巡らされているため、ある国の余剰電力を別な国の消費電力としてこの連系線を介して出力変動を全体として調整することが出来ますので蓄電する必要が有りません。言わば、欧州全体が蓄電池の役を果たしていることになります。その点、島国の英国や日本ではそのような、連系線を介しての出力変動を調整することが出来ませんので蓄電を必要としコストアップに繋がることから風力発電はドイツ、デンマーク、スペインなどにくらべて相当、遅れをとっております。

欧州全体での風力発電の累積導入容量推移

上図は欧州全体の風力発電量の推移を示しております。2008年末で約6.5万MWとなっており、内訳はドイツが2.4万MWで第1位、スペインが1.7万MWで第2位でこの二国で全体の63%を占めており、あとイタリア、フランス、デンマークが続きますが、いずれも0.3万MW台でしかありません。一方、日本は0.18万MWで世界第12位で、ドイツの8%程度でしかありません。

日本は、ドイツ、オーストリアと違って原発が容認されていることからコスト的に原発の方が有利であること、欧州のように安定的に偏西風が吹かないこと、連系線による出力変動の調整が困難であることの諸事情から、欧州並みの増加は見込めないように思われます。尚、中欧5ケ国ではドイツに次いで、オーストリアが1.0万MW、チェコが0.015万MW、ハンガリーが0.013万MW、スロバキアは僅か0.0003万MWでした。

因みに、日本の発電設備全体容量は2008年末現在で261,730MW(米国、米国に次いで世界第3位)で、うち風力発電は上述のように0.18万M(世界12位)ですから、その比率は僅か0.7%に過ぎません。一方、太陽光発電の累積導入容量で、日本は2004年までは世界一位でしたが、同年にドイツに抜かれ、昨年末の実績でドイツ540万KW(=0.54万MW)、スペイン230万KW(=0.23万MW)、日本197万KW(=0.197万MW)で、スペインにも抜かれて第三位に転落しております。

つまり、日本は代表的な自然エネルギー発電の風力、太陽光ともに0.2万MW程度で発電設備全体に占める割合は併せて1.5%(ドイツでは約10%)に留まっております。ドイツでは1991年度から家庭などの太陽光設備で発電した電力を電力会社に買い取らせる制度を導入、スペインでは2008年にはその買い取り価格を引き上げさせるなどの国策が太陽光発電の増大に寄与しております。日本では電力会社保護の立場からこのような国策が行われておりません。8月31日の総選挙で自民、民主両党がこれらの自然エネルー発電にどのような政策を見せるか注目されます。

世界の発電設備全体容量

世界の風力発電設備容量


前 頁 へ 目 次 へ 次 頁 へ